お客さまインタビュー

INTERVIEW

高品質な鉄道映像技術とニッチトップなブランド力を社会へ広げるM&A

2025年6月成約

セルサイドFA

対象企業
ビコム株式会社(映像制作業/福岡県)
売り手
株式会社FFG成長投資(ファンド/福岡県)
買い手
株式会社RKB CINC(放送業/福岡県)

ビコム株式会社は、創業者の急逝を機に事業承継を検討し、社内体制整備と持続的な事業成長を目的に株式会社FFG成長投資へ事業を承継。その後は、株式会社FFG Successionのサポートを受けながら自社の更なる発展を見据え、最終的に上場企業である株式会社RKB毎日ホールディングスグループの「株式会社RKB CINC」への承継を実現しました。
今回は、このプロセスについて、ビコム株式会社代表取締役社長 三牧孝徳氏、株式会社RKB毎日ホールディングス 取締役 長井巧氏、事業戦略担当 久保敦氏にお話を伺いました。
(担当者:株式会社FFG Succession シニアコンサルタント竹ノ下亮介)

創業家から大手放送局へ技術と想いをつなぐ
ふくおかフィナンシャルグループの伴走支援

M&Aへ動いた経営的な背景

「私に社長が務まるのか」直面した不安と未経験の重責

ビコム株式会社 代表取締役社長 三牧氏

ビコム株式会社 三牧氏

創業者である前社長が急逝後、奥様が代表に就いた流れを経て、私は代表を仰せつかりました。当時は、まず奥様を支え、とにかく会社を前に進めようという思いで「自分たち一人ひとりが考えて動かなければならない」と社員一丸となって取り組んでいました。元々一社員だった私にとって銀行の方と話す機会など全くなく、事業承継の内容ともなれば「正直怖い、大丈夫だろうか」というのが最初の率直な感想でした。特に、財務諸表を見たこともない状態で「私に社長が務まるのか」と不安ばかりでした。

FFG成長投資とともに、組織体制を再構築

三牧氏
前オーナーとメインバンクであった福岡銀行とで承継について話し合いを重ね、福岡銀行グループの投資会社(※ファンド)「FFG成長投資」がオーナーになることが決まりました。経営者としての力不足を痛感し、従業員と気持ちをすり合わせていく作業に大変苦労していましたが、大きな課題であった会社体制の整理にFFG成長投資が力を貸してくださり、次第に組織としてのまとまりが生まれていきました。その結果、従業員が安心して働ける職場環境が整い、データに基づいた営業活動が可能となりました。組織体制や経営において計画から改善までを継続的に行える仕組みが整い、販売強化に向けた確かな土台を築くことができました。前社長の急逝による社内の混乱も、この体制づくりを通して乗り越えることができました。

成長のため次のステージへ

ふくおかフィナンシャルグループが繫いだ上場企業への事業承継

三牧氏

FFG成長投資の支援で組織体制を立て直し、経営の「見える化」を進めたことにより会社が自走できるようになりました。そこで、さらなる成長を見据えた承継へ向けて活動を行うことが決まりました。FFG成長投資から次の会社への承継は、ふくおかフィナンシャルグループの中で連携され、FFG Successionに支援していただくことが決まり、次の成長ステージを目指すことになりました。

株式会社RKB毎日ホールディングス 取締役 長井氏

株式会社RKB毎日ホールディングス 長井氏

福岡銀行から「こういう会社があります」とビコムをご紹介いただいた際、純粋に「面白い会社だな」という印象を持ちました。特に、鉄道DVDの制作・販売で国内シェアが80%以上という実績があり、単にニッチな分野でやっているという意味ではなく、一つの強い柱を持っていることが大きな魅力でした。

三牧氏
承継候補先に「RKB毎日ホールディングス」が上がったことを聞いたときは「す、すごい…」の一言でした。同時に、映像業界内でもビジネスモデルが違うことも少し不安でしたが、面談で私たちの会社への深い理解と「いいビジネスパートナーでいたい」という言葉をいただいたのが心に残っています。私たちの強みである鉄道映像技術と幅広い層へ向けたメディアとで、どんなシナジーが生まれるのか期待が大きかったです。

承継元、承継先の顔が見える安心が地銀系M&Aファームの強み

株式会社FFG Succession シニアコンサルタント 竹ノ下氏

株式会社FFG Succession 竹ノ下氏

私たちの強みは、ふくおかフィナンシャルグループの豊富な情報とネットワークを活かし、幅広い選択肢からご提案できる点にあります。そして、承継元・承継先のどちらとも顔が見える相手と進められるのも地銀系M&Aファームならではの強みだと思っています。今回は、RKB様が持つ映像コンテンツ制作力や配信プラットフォームといった強みを活かし、ビコム様の映像編集技術との相互交流や自社配信領域の拡大といった展開が期待できると感じ、承継候補先の1社としてご提案しました。さらに、RKB様のビコム様への強い思いが三牧社長とFFG成長投資に伝わってきたことから、三牧社長とFFG成長投資で協議した結果、最適な承継先として選定されました。

長井氏

鉄道DVDという分野は、コアなファンの方が多いですよね。しかも、鉄道に関する映像というのは、ネットやSNSを含めて今ものすごく広がっています。ビコムが質の高い映像を制作しているという強みを活かせば、私たちが持っている放送や番組の中で、その映像を協力して活用できるのではないかと期待できました。ビコムの売上が上がるのはもちろんのこと、我々RKBグループとしても放送分野の売上増や番組制作の質の向上に寄与できる。ここに一番大きなシナジーと可能性を感じました。

更なる発展を見据えた事業承継プロセス

鉄道映像制作における強みと熱意をしっかり届けてくれたFFG Successionの存在の大きさを実感

三牧氏
FFG Successionの主導のもと、RKB毎日ホールディングスとの面談を何度も重ねました。お互いの距離が縮まるにつれ不安は新たな取り組みの期待へと変わっていきました。これは、FFG Successionを通じて、私たちの鉄道コンテンツに対する熱意や小さな会社ながら築き上げてきた「ビコムといえば鉄道」というブランド力が、RKB毎日ホールディングスに事前に深く理解していただけていたからだと思います。ありがたかったですね。
竹ノ下氏
今後の協業を成功させるために、現状できること、できないこと、将来的な可能性の幅など、私たちはビコム様の等身大の力を正確に理解していただくことが非常に大切だと考えていました。現状の力や将来の展望をみんなで話し合ってしっかり伝達できたことでRKB毎日ホールディングス様に正確な認識を持っていただけたと思います。
三牧氏
M&Aの経験がない私たちにとって、RKB毎日ホールディングスから事業に関する質問をいただく中で、初めて気づく点が多々ありました。その際、FFG Successionが、質問の意図を私たちが理解できるよう言葉のフィルターをかけて伝えてくださり、また、回答の組み立てまで徹底して寄り添ってサポートしてくれました。資料作りも含め、不慣れな中で右も左もわからない状況を解消してくれたFFG Successionの存在は、非常に心強かったです。

丁寧な確認作業と誠実な説明で不安を納得へと変えたFFG Successionの手厚いサポート

長井氏

M&Aを進めるにあたり、不安や課題を一つずつやり取りしながら解消していきました。先ほど「等身大」という表現がありましたが、譲受する側の立場から申し上げますと、相手先の企業の内容について、「不安というよりもとにかく詳しく知りたい」ということが多々ありました。ビコムにもFFG Successionにも、我々の意図を汲んで誠実に対応していただき本当に感謝しております。

株式会社RKB毎日ホールディングス グループ戦略室 事業戦略担当 久保氏

株式会社RKB毎日ホールディングス 久保氏

私自身、M&Aの専門家ではありませんが、最後までしっかり対応してくださり、FFG Successionには心から感謝しています。ビコムが持つ「鉄道」という確固たる分野のコンテンツは大変興味深く、業界でいうIPコンテンツにあたります。映像だけでなくさまざまな事業展開の可能性がある財産です。そういった貴重な分野を持つ企業なので興味が湧き、私もつい色々な質問をしましたが、竹ノ下さんが一つ一つ丁寧に調べて対応してくれました。そのおかげで企業内容が手に取るように詳しくわかり、スムーズに話を進めることができました。

長井氏
社内の納得を得るためには、やはりそれ相応の詳しい説明が必要でした。これは私の単純な勘で進められる話ではないため、社内調整は非常に大変でした。それでも、とにかく丁寧に詳しく説明を重ねたことは、今後ビコムと一緒にやっていくことを考えると、重要なプロセスだったと感じています。

協業で生まれたシナジー効果

最終の事業承継は、RKB毎日ホールディングスグループの「RKB CINC」に決定

三牧氏
RKB毎日ホールディングスグループへの事業承継が決定した際は、ほっとしたと同時に大変ありがたい思いでいっぱいでした。有意義な形で着地できたことを、亡くなった前社長にも手を合わせて報告したいと思います。
長井氏
今回、最終的にRKB毎日ホールディングスグループの「RKB CINC」が株式を譲受けさせていただく形を取りました。しかし、RKB CINCだけではなく、我々が持つシステム会社、放送局、通販の会社など、グループ全体でビコムの商品を取り扱うことや、ビコムと共同で映像制作を行うことができるのではないか、と最初に思いました。そして、実際に承継先となったRKB CINCともさまざまな連携が始まっていると聞いています。この連携によってグループ全体として非常に良い展開になっていくだろうと期待しています。

高い技術力と情報発信力の連携によるシナジー効果両社の強みが生み出す新事業展開への期待

三牧氏

RKB CINCへ事業承継が決まり、協業はまだ始まったばかりですが、すでに実務レベルでご一緒しています。例えば、これまでずっとやりたかった昔の映像のデータ化なども、驚くほどのスピード感で進めていただいており、一つ一つの作業の部分からサポートを受けていることに感謝しています。また、DVDやブルーレイ市場は将来的には厳しい状況になると思われます。そのため、RKB CINCにもサポートいただきながら、多様な形でコンテンツを有効活用できる仕組み作りにも取り組んでいます。

久保氏
RKB毎日放送が主催する秋の大きなイベントで、さっそくDVDの販売をしていただきました。このほかにも、多様な形でシナジーが生まれているのを実感しています。将来的には、RKB毎日放送側で鉄道に関するイベントの開催も検討されていると聞いています。
三牧氏
私たちの強みは、鉄道関連のコンテンツと4K・8K撮影を特徴とする高画質技術です。この強みを存分に発揮していければと思います。ご一緒させていただく中で「良かった」と心から思っていただける貢献をしたいと考えています。今後も精一杯努力していきたいと思います。

FFG Successionによる伴走型のM&A支援

地域に根ざした信頼と伴走でM&Aを推進する

竹ノ下氏
オーナー企業であったビコム様と一緒に伴走しさまざまな状況を乗り越え、最終的にはビコム様としてシナジーを感じられた放送会社に譲渡できたことは、大変有意義なM&Aだったと感じています。会社がより良い方向へ向かうことを軸にした伴走型のM&A支援で今後も地域企業へ貢献できればと思っています。
長井氏
我々は福岡に本拠地を置く企業ですので、地域の事情に詳しいFFG Successionは、社内の納得を得る上でも心強い説得材料になったと感じています。引き続き情報共有などしながら今後も連携を継続していきたいと考えています。